イエスマン
会社の中で出世しよう、昇進しようと思った場合に、一番賢い方法は何でしょうか?
読者のみなさんはよくご存じだと思いますが、「上司の言うことをよく聞くイエスマンになる」ことです。
もっと正確に言うと、上司の言うことだけをよく聞き、仮にその判断や指示が間違っていると感じたとしても、決してそれを指摘することなく、お客様や社内の他部署のことも一切気にしないで、愚直にやっていくことです。間違っても、上司の間違いを正そうとしたり、他の人のことに気をつかったりしてはいけません。
また、夜のお酒の付き合いは絶対に断ってはいけません。そこが仕事以上に重要な場所だからです。建前中心のビジネスアワーの打ち合わせとは違い、人の悪口を肴にしながら、本音の話が聞けます。夜のお酒の場が、実質的な好き嫌い人事の評価が行なわれる温床なのです。マイホームパパを気取り、家族のことを気にするのはご法度です。上司はすでに家族に相手にされていないので、自分が言うことを「おっしゃるとおり」と素直に、相槌をうちながら聞いてくれるかわいい部下だけが家族のようなものなのですから。
逆説的な書き方をしましたが、夕方からのお酒の付きあいの場で、グチや悪口を本音で語り合いながら、密室で評価を行い人事まで決めていくというのは現実によくあります。お酒のせいで口も軽くなり、人事情報も漏れやすくなります。
多くの社員がまじめに残業して働いている間に、業務をほったらかして社内政治に傾倒していくのは本末転倒ですが、まるで自分の会社のことのようで笑えない人は多いはずです。ある大きな鉄鋼会社や商社では、「お客様への対応より社内政治が大切」と真剣に語っている人がいてあいた口がふさがりませんでしたが、現実にはこういったことは毎晩どこかの酒場で繰り返されているのです……。
(2024年06月25日)