そしてだれもいなくなった
歴史が語るようにイエスマンだけをまわりに集めた経営は必ず崩壊します。私も自分が勤めた会社や取引のあった会社がダメになっていく例をいくつも見てきました。国内ではライブドア、ダイエー、海外ではフォードなどその例は枚挙にいとまがありません。
自分の地位を脅かすライバルを蹴落として、自分より能力の落ちる人間ばかりを登用していれば、社員は会社のトップの顔色を見ながら働くようになります。組織はそのトップ以下にしかなりません。経営が愚かであれば、会社という組織の上位下達を原則とする制度上、部下も愚かになり、会社は衰退に向かうプロセスを着実に進んでいくことになるのです。
悪い人事評価は、人の心にしこりを残し、やる気を失わせます。いじけさせたり、心の病の素にすらなります。創造性を活用することもできなくなります。
また、不公平感や無気力感を伝播させることにもなります。こういった感情は人の心に根づく緩慢な動きなので、上司への直接のクレームという形にはなりにくく、表面的には見えづらいのですが、社員の心の底流で徐々に組織全体に伝播していきます。こうして、時間を経て評価者自身と会社に対する信頼性を失わせ、活力を蝕んでいくやっかいな病巣になってしまうのです。
必ずしも目先の業績に直結するわけではありませんが、業績が伸び悩んだり下降傾向に転じていくのは時間の問題です。悪い人事評価は、それを行った会社や評価者に返ってくることを忘れないでください。
(2024年06月24日)