ハイパフォーマーのヒアリングの精度を上げる工夫
ヒアリングが重要とは言うが・・・?
営業の中で最も大切なプロセスは何でしょうか? 答えは「ヒアリング」です。
ということは、ヒアリングの効果的なやり方も明らかにされていなければなりません。
ところが、属人性が課題である営業の世界では、ヒアリングのやり方も各人の工夫に任されている組織がほとんどです。
ハイパフォーマーならどうする?
では、ハイパフォーマーはどうしているのでしょうか? 彼らはまず確認しなければならないヒアリングポイントを整理します。そして、そのポイントを聞き漏らさないように「ヒアリングシート」を用意しています。
一方、「できない営業」は、慣れているから大丈夫と考え、自分の記憶を頼りに適当に聞くので、必ずといっていいほど何点か忘れます。そもそも何を聞くべきかちゃんとわかってない営業もいます。
営業の場面はいわば即興劇のようなものです。相手により反応や会話の流れも変わります。自分の想定通りには進みません。
ですから、どんなベテランでも聞き洩らすことがありますし、その場の雰囲気で聞きにくいときもあります。まして不慣れな若手であれば言うまでもないでしょう。
ヒアリングシートで問題は解決!
ヒアリングシートを準備して持参するというちょっとした手間をかけるだけで問題は改善します。ヒアリング項目をすべて覚える必要がないので、聞き漏らしが減り精度が上がります。顧客もヒアリング方式が標準化されていることがわかるので感心してくれます。ヒアリング力の属人化解決にもなるので、人財育成の観点からもおすすめです。
モノを売るための内容になっていないか?
ヒアリングシート自体は、簡単なものを用意している組織もあります。とはいっても、普通は企業が売りたいモノの仕様やスペックを確認するための内容になりがちです。
ヒアリングシートを活用する目的は、顧客が求めるニーズを探り理解することです。ですから、順番としては、まず商品で解決したいことや導入の目的が先にくるべきです。そして、商品に関するチェック事項はそのあとです。あくまでもその課題解決のために売りたいモノがくるという考え方です。ですから良いヒアリングシートでは、「現状」「課題意識」「ゴール(解決の方向性)」を先におきます。
課題をパターン化しておくのがコツ
課題もできればパターン化しておきたいところです。顧客課題が10程度にまとめられればヒアリングがやりやすくなります。顧客の人脈情報(特に、決定権者)、予算のあるなし、導入予定時期なども項目として入れます。
何だかんだいっても出口は企業が提供するソリューションですので、そこに導くために、お客様が納得しやすいストーリーを、ヒアリングシートの流れにさりげなく差し込んでおくこともポイントです。
ヒアリングシートを使った高度なテクニック
買う気満々の顧客には、ヒアリングシートを事前にメールして、顧客自身で埋めてもらうという効率的な手を使っている大手システムベンダーのトップセールスもいました。
科学的なマネジメントを好む顧客の場合、営業する側のヒアリングシートを見ることはないので、興味をもって書き込んでくれるそうです。
ただし、このテクニックは上級編です。あくまでもヒアリング相手を選ぶ必要がありますので、マネをする時は失礼にならないように十分注意してください。
ヒアリングシートを使えば顧客の反応が変わる
面倒くさいと思うかもしれませんが、一度だまされたと思ってヒアリングシートを活用してみてください。
顧客のニーズを中心にした課題ファーストのヒアリングシートを使って、顧客が求めるもの・課題・ゴールを知ろうとすると、それまでにはない顧客の反応が返ってくるはずです。
【まとめ】
○ ハイパフォーマーは、確認しなければならないヒアリングポイントを整理する。課題もパターン化しておく。そして、「ヒアリングシート」を用意して聞き漏らしを減らす工夫をしている。
×できない営業は、そもそも何を聞くべきかわかっていない。自分の記憶を頼りに我流でヒアリングする。その結果、必ず何点か聞き忘れる。
(参考文献)
『営業の正解』ヒアリングのコツ⑬ ヒアリングの精度を上げるためにどんな工夫をしていますか?
※「ハイパフォーマーの成功特性」は、これまでに出版した本の一部を改編・再編集したり、ページ数の制限でやむなくカットしたネタなどもあらためて紹介します。
ハイパフォーマーの成功特性シリーズのバックナンバー
↓
No.147: ハイパフォーマーはルールに縛られず柔軟に対応する
No.146: ハイパフォーマーは小さな約束を必ず守る
No.145: ハイパフォーマーの信頼獲得の秘訣
今回も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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(株)フリクレア 代表取締役
山田和裕
(2025年04月25日)