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コラム

社内浸透度を高める ― プロセス主義を組織にどうやって浸透させるか(2)

 

社内浸透度を高めるアプローチ

 

前回のコラム普及ラインとキャズム ― プロセス主義®をどうやって浸透させるか(1)でご紹介した「普及率16%とキャズム」は主にハイテク製品を想定したものです。扱う製品やサービスは違えど、本質理解力のある営業リーダーにはこれだけでも十分かもしれませんが、複合的な視点から見ることで論旨に厚みを持たせるために、ランチェスター理論を応用して社内理解者を味方にしていく = 協力者シェアを増やして“社内浸透度”を高めていくアプローチの考え方も加えておきます。

 

ランチェスター理論については、ビジネスマンに広く知られているので説明は簡単にとどめますが、イギリスのエンジニアだったフレデリック・ランチェスターが発見した軍事戦略理論を基に、日本のコンサルタント田岡信夫氏が市場シェア理論を加えたもので、競合に勝つための販売戦略やマーケティング理論として営業分野でもよく活用されています。

 

7つのシンボル数値

 

社内での理解者を増やすこと(以下文脈に応じて、“協力者シェア”や“社内浸透度”を使い分けます)は、いわば、社内マーケティングとも言えるもの。市場シェア理論を応用して、社内のシンパを増やす際の目安となる「7つのシンボル数値」について、以下のように説明します。それぞれの一般的な定義に加え、プロセス主義®の浸透のケースに置き換えて私なりの解釈を加えてみました。矢印(⇒)以降がその解釈です。

 

①独占シェア(上限目標): 74% 独占シェア、最終的な目標 

⇒ プロセス主義®が完全に組織に浸透し、組織の特徴、DNAと言えるレベルに到達。

 

②寡占シェア(安定目標): 43% 安定的なトップシェア、首位独走の目標 

⇒ 実践者が4割を超えれば、プロセス主義®もほぼ組織に根付いた状態。

人が代わっても、踏襲され安定期に入ったといえる。

 

③トップシェア(下限目標): 26% トップシェアの最低目標、安定した状態ではない 

⇒ プロセス主義®が理解され組織に受け入れられたが、まだ組織構成員の1/4程度であり、心底納得していない向きも多く安定していない。営業リーダーの交代や数字の落ち込みでまた逆行してしまうことも。

 

④上位グループシェア(上位目標): 19% ドングリの背比べの中から上位の仲間入り

⇒ 組織論の2:6:2における上位2割の層に理解されプロセス主義®の導入が本格化。リーダー層が理解し組織の方針として指示するので、残りの6割の層にも理解され、浸透するスピードがアップしてくる。

 

⑤影響シェア(影響目標): 11% 

市場の中でその存在が影響を与えだす数値。

⇒ プロセス主義®の重要性が組織内で認知され、論議も始まる。まだ心の中では懐疑的な人間も多い。

 

⑥存在シェア(存在目標): 7% 

競合がその存在を認められるが影響力はない

⇒ イノベーターやオピニオンリーダーが、プロセスを大切にする考え方を個人的に実践し結果も出し始めるが、まだ非主流派扱いのレベル。

 

⑦新規参入シェア(拠点目標): 3% 

市場参入段階

⇒ 結果を出すためにはプロセスも大事だということに気づく。ほとんどの組織でこのレベルは超えている場合が多い。しかしまだまだ頭で理解の域で、あくまでも従来の結果の数字重視は変わらない。

 

(図)「段階的な取組シェアの改善」

img src=”dankaitekinatorikumisharenokaizen220225” alt=” 段階的な取組シェアの改善”/

 

目標シェアの設定

 

このようなシンボル数値を参考にすると、「プロセス主義®をどういう段階を経て、協力者シェアを増やせばよいのか = 社内浸透度を高めていくのか」という目標設定が、具体的にイメージしやすくなるのではないでしょうか。

 

例えば、現状が2,3%程度でプロセス主義®に対する社内認知度がまだ不十分である場合は、まずは、影響シェアの11%を目指し、理解してくれそうな人間を選び課題の共有や意見交換を行う。

次に、トップシェアの26%を目標に、組織マネジメントに影響力のある営業リーダークラスの社内のキーマン中心に説明、理解の輪を広げていく、といった感じです。(なお、社内の理解者を増やす具体的目標は、シンボル数値に正確にこだわる必要はないので切りよく10%、15%、25%としてもよいと思います)

 

見える化ツールを共通言語として活用する

 

社内浸透度を高めていく過程で、“見える化ツール” (標準プロセス資料)は、社内の理解を得るためのわかりやすい資料(共通言語)として、心強い味方になってくれます。

 

( 見える化ツールの詳細についてはこちらをどうぞ → プロセスを見える化するためのツール営業にも本当は手引書が必要?プロセス主義®成功の早道は本質を理解することプロセス主義®の5大失敗パターン

 

プロセスの見える化がどう業績アップにつながるのかのロジックをわかりやすく示す。業績につながるKPIを正しく設定するための論議のベースにする。業績改善を目指す上での課題の明確化。標準プロセスをどう研修や営業会議に取り込み営業マンを育てるか等々。見える化ツールの活用法は多岐にわたります。

 

ちなみに社内浸透度(協力者シェア)の測り方は、営業リーダーの中で見える化を実践している人数や、その営業リーダーが率いる部署のイノベーションを活用した実績値の比率などで測ることが可能です。

 

以上、プロセス主義®を組織に浸透させるために、協力者を増やしながら社内浸透度を高める考え方を紹介しました。シリーズの3回目は「抵抗勢力が反対する理由」について深堀する予定です。 

 

参考文献:

『ランチェスター戦略 弱者逆転の法則』(福永雅文)

『百匹目の猿』(船井幸雄)

 

今回も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

導入済みのSFA/CRMなどのITツール活用が今一つ進まない、プロセス主義®を導入したいが社内の抵抗が心配だ、とお感じの方は こちら からご連絡ください。

 

⇨ コラムへのご意見やご感想は info@flecrea.com 

 

 

()フリクレア 代表取締役

山田和裕

 


(2022年02月25日)

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