プロセス見える化の5ステップ
3月のコラム プロセスの見える化がなぜ必要なのか? では、プロセス見える化の必要性について、すし職人の修行期間の話なども交えながら、「そもそも本当にプロセスの見える化は必要なのか?」という初歩的な疑問について考えてみました。
今回は「じゃあ、具体的にどうすれば複雑な仕事のプロセスを見える化できるのか?」「営業におけるプロセスの見える化とはどういうことなのか?」「見える化がどうして業績アップに結びつくのか?」、といった疑問について解説してみたいと思います。
以前は「可視化」と呼ばれていましたが、最近は「見える化」という言葉もだいぶ一般化してきました。ただ、実際にご自分の仕事を「見える化」しろと言われて簡単にできるでしょうか? 普通はハタと困りますよね?
やり方は色々あると思いますが、フリクレアなりの見える化の考え方をご紹介しましょう。図をご覧ください。この図を「見える化が業績アップにつながる5ステップ」と呼んでいます。
まず、その流れを簡単に説明しておきます。①営業プロセスの「標準化」 → ②ツールによる「見える化」 → ③組織内での「共有化」 → ④「人財育成」による営業力強化 → ⑤「カイゼン・徹底」による業績アップ というサイクルが、フリクレアが提唱している結果を出すための見える化の5ステップです。
続けて、それぞれのステップを深掘りしていきましょう。
①営業プロセスの「標準化」
➡ 見える化の前には、まずプロセスを標準化する必要があります。そのためには、できる営業 = トップセールスのやり方をヒアリングして“標準プロセス”をまとめる というやり方をとります。
よくやりがちなのは、できる人もできない人も含めて、幅広く様々な人から広く浅くみんなの意見を取り入れるというやり方です。一見公平そうで常識的なやり方のように感じますが、実はここが誤りの始まりです。常識のウソのひとつです。
せっかく苦労して幅広く意見聞いても、できあがったものはみんなの意見を取り入れすぎて、間違いとは言い切れないものの、中庸なつまらないものになりやすいのです。なぜか心に刺さりません。残酷な言い方かもしれませんが、わざわざ膨大な手間と時間とコストをかけて、実践ではあまり使えないプロセスをつくっていることになります。
②ツールによる「見える化」
➡ “見える化ツール”で資料化・形式知化
標準プロセスをまとめるやり方やフォーマットには、会社や組織により様々なものがあると思いますが、フリクレアでは“3次元プロセス分析法®”という独自の手法を使って“見える化ツール”というフォーマットにまとめています。見える化ツールは、プロセスシートと標準プロセスの手引きという2つの資料から構成されます。(詳しくお知りになりたい方は、3次元プロセス分析法® を参照ください)
③組織内で「共有化」
➡ そして、見える化ツールで資料化することによりわかりやすくなった「できる営業のノウハウ」を“営業の勝ちパターン”として共有します。
共有のやり方としては、まずは、営業本部長会議、部長会業などの会議体で、組織として正式に広めていくことを宣言します。
次に、部・課単位の週ごとの営業会議への落としこみ。そのために、部課長クラスを集めた管理者への説明会や研修で、具体的に解説し部下に伝えてもらいます。
そして、ここが肝心のところですが、日々の営業活動は当然のことながら、営業会議やOJT・研修、さらには人事評価で支えながら、徹底させ継続的に浸透させていきます。
④見える化ツールを「人財育成の基本の型」として営業力強化
➡ 共有したノウハウを研修・OJT・日々の営業管理等の教育施策で活用
標準プロセスが「人財育成の基本の型」となります。OJT・研修や人事評価と「連携するためのつなぎ役」(媒体)にもなります。また、仕事の課題や改善点を話し合うための「共通言語」として活用することで、コミュニケーションが活発になり、チーム力・組織力強化・営業力強化につながります。
⑤「カイゼンと徹底」 & “プロセス評価”による業績アップ
➡ 見える化ツールもバージョンアップ、そして人事評価で支える
プロセスの見える化を行い、標準プロセスを見える化ツールにまとめても、社員が本当に「本質を理解 → 実践 → 徹底」できるようになるまではそれなりの時間がかかります。頭では理解できても、すぐ結果を求めてしまう結果管理から脱却する意識改革にも時間を要します。
どんなマネジメント方法でも同じで、最初の導入の際は新しいことや変化に反対する社員からの抵抗があり、簡単にはうまくいかないものです。それでもあきらめずに辛抱強く、社員たちに受け入れられるように“徹底していく”。この泥臭さが導入の成否を分ける分かれ道となるのです。
そこで重要になるのが人事評価です。標準化・見える化したプロセスの取組を人財育成を行いながら徹底してもらうために、“進化したプロセス評価®”で支えるのです。
(フリクレアが提唱する“進化したプロセス評価®”についてはこちら「プロセス評価・人事評価」をご覧ください。)
この「プロセスの見える化が業績アップにつながる5段階」のサイクルを回すことによって、結果を担保するプロセスの見える化が浸透し、継続的な業績改善につなげることが可能になります。
プロセス標準化・見える化の本質を理解し、いかに標準プロセスへの取組を徹底し、やり切ってもらうことが最初の壁になりますが、これまでの属人的なやり方に閉塞感を感じ、何かを変えなければならないのであれば、是非チャレンジしてみてください。
今回も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
以上、プロセス見える化の5ステップをご説明しましたが、教科書通りに見える化ができれば苦労はありません。「営業の見える化がなぜ難しいのか?」という現実的な問題については、また回を改めて深掘りしてみたいと思います。
(株)フリクレア 代表取締役
山田和裕
(2020年05月25日)