こうして強権(狂犬)的なボスは誕生する・・・
前回コラムNo.89 繰り返される問題の本質で言及した日大アメフト部の悪質タックル問題にもつながるが、他人から見ればどうしてもおかしい「強権的な体制がなぜできてしまうのか?」、また、「人々はなぜなすすべもなく従ってしまうのか?」について、フリクレアが得意とするプロセスの観点から考えてみたい。
プロセス(1) 体制固め
経営の立場になると、自分のマネジメントする体制を固める必要性を感じるようになる。
最初は様々な人の意見も聞こうとするのだが、何回説明しても変わらない分からず屋や、反対する人間が多いと説得に手間と時間がかかり、段々嫌になってくる。
プロセス(2)部下を選ぶ
そこで、自分の意(経営哲学)を理解し、素直に実践してくれる部下を選ぶ人事を行うようになる。
ここまでは組織文化の形成や経営の安定化という意味で普通であり、決して否定されるものではない。
プロセス(3) 自分好みの体制ができる
こうした人事で自分の意にそう部下ばかりを集めて、自分好みの体制ができてくると心地よくなってくる。
誰も文句を言わないので会議などの進行が楽になり、そうこうするうちに味をしめイエスマンばかりを集めるようになる。
プロセス(4) 悪い情報が聞こえなくなる
自分をチヤホヤほめる人が増え、悪い情報が聞こえなくなって、もっともっと気持ちよい環境になってくる。
組織もうまく回っているように“本人には見える”。人が従う快感 ~ うまくいっているという満足感 ~ 自分はすごいという万能感。
プロセス(5) 権力行使が楽しくなる
大の大人が子供のようにハイハイいうことを聞いてくれ、自分の嫌いな人間を簡単に排除できるので、権力を行使することが益々楽しくなる。
人事権を行使することは、“大人のおもちゃ”のようなものだという例えがある。
プロセス(6) 強権的なボス = 帝国の誕生
権力を行使し続けることで、取り巻きや部下たちはモノを言わなくなり、ついに強権的なボス = 帝国の誕生!
たまに正義感や勇気のある人が諫言を呈すると、ボスが狂犬のように吠え、人事面でも見せしめのように無視・冷遇・左遷されるので、怖くて誰もモノを言わなくなる。
プロセス(7) 組織が崩壊し始める
その裏で本音では、人々の不満はつのり士気も下がる。徐々にだが組織(帝国)が崩壊し始め、緩慢な後退(業績ダウン)のプロセスを辿るようになる。
こうなると、真面目にやっても仕方がない。間違っていてもその指示に従わないと痛い目にあう。取り巻きや従順な?部下もボスと同じようなやり方を真似て下には強権ぶる反面、上の顔色ばかりをうかがいやるべきことをやらなくなるので、業績が下降線をたどるのは自然の理。ただし、惰性力がありすぐには落ちないので不遜な行動が蔓延、慢心が闊歩する。
このようなパターンをたどっておかしくなった組織のいかに多いことか。一度経験していないと、必ずそうなるといっても過言ではない法則とも言えるもので、人間の本性に目指したプロセスといえる・・・
(2018年12月25日)