「結果がすべて」は誤った営業の常識!
「結果がすべて」 ――― 営業でよく聞く使い古された言葉です。
しかし、これはハッキリ言って“誤った営業の常識”です。
古い営業管理の虚構によって刷り込まれた“科学的な根拠のない言い伝え”にすぎないのです。
この言葉を金科玉条のように信じて疑わない人はまだに多く存在しますが、かつての経済成長の時に通用しただけの古いやり方にすがっているだけにすぎません。
(言葉は悪いですが、洗脳された状態とも言えるのではないでしょうか)
いまだに「私は結果しか見ない。プロセスは関係ない」と言ってはばからない経営者や管理者もいますが、今時こういう発言をしていると、陰で笑われてしまうのでご注意ください。
結果だけを求めても何も好転しない ――― いや、むしろ悪いスパイラルに陥ってしまう ――― そのことに気づき目を覚まさないかぎり将来はありません。
少し考えれば子供でもわかる話ですが、やるべきことをちゃんとやらずに結果が出るはずがないのです。しかし、営業の世界では「結果がすべて」というまことしやかな常識のウソが、隅々まで浸透してしまっていて、その呪縛から逃れられない状態で、病巣はかなり深いのも事実です。
今までそうやってきたし、他にやり方を知らないので、同じことを繰り返すしかないのかもしれません。しかし、自ら深く考えることをせず、工夫や試行錯誤もしないことに何ら疑問を感じていないのであれば問題です。結果がすべてという呪縛から解き放たれ、思考停止していることに気づかなければ、この先の発展は期待できません。
「結果がすべて」という呪文を唱え続ければ、結果が出るのであれば苦労しませんが、具体的なやり方を示されないまま何とかしろと責められる社員は不幸であり、そんな組織は疲弊するだけです。「結果がすべて」とわかった顔をして冷たく突き放す人間の言葉に、これ以上振り回されても何もいいことはないのです。
「結果がすべて」という常套句に何ら疑いを持たないのは、冷静に考えると、“結果がすべて教”を信じこまされているようなものです。そして、「結果がすべて教」の教義の根底にあるのは、“目先の結果主義”(短期的な結果主義)です。目先の結果主義という誤ったビジネスの常識が、健全な業績改善を阻む最大の壁なのです。
この思い込みから脱却し営業変革を成功させるためには、目先の結果主義から目を覚まし、『営業はプロセスがすべて』 という、正しい営業マネジメントへのパラダイムシフトが求められます。
長年にわたり吹き込まれた目先の結果主義。皆が何かおかしいと感じながらもハッキリとは否定できないので、同調圧力が強い日本の会社、空気を読み忖度が求められる組織の中では、誰でもかかりやすい罠です。まるで、童話の裸の王様のように・・・?
しかし、結果至上主義(結果がすべて教)を信じて疑わないのは、具体的にどうやれば効果的に成果を上げられるか本人がわかっていないことの裏返しなのです。根拠のない目標数字(ノルマ)を課し、結果の数字と精神論だけで部下を締めあげ、追い込む姿が透けて見えるようです。ブラック企業であることを自ら告白しているにも等しいのです。
「結果がすべて」という空しい命題が、科学的に証明されることは永久にありません。しかし、「目先の結果主義を追求して、長期にわたり結果を残せた会社はない」という反証例は、枚挙にいとまがありません。時間の問題で、必ずどこかでひずみが表れ、結果主義の激しい副作用で会社の業績が悪化してしまうのです。
思考停止に陥らずに営業に真剣に取り組み、試行錯誤しながら成果を出し続けている「できる社員」は確信しています。「結果の数字はやるべきこと、すなわち、正しいプロセスを行った必然の帰結としてついてくるものである」ということを。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
次回以降は、本当にプロセスの見える化が必要なのか、結果を出すための見える化はどうやって具体的に進めていけばよいのか、などの視点から深掘りしていきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
(株)フリクレア 代表取締役
山田和裕
(2020年01月24日)