成果主義の問題点
成果主義に苦悩する企業の具体的な問題点を5つの視点から考えてみましょう。個人の成果だけを評価する、あるいは、結果の数字だけを評価する誤った成果主義は崩壊ししつつあるという実態がよくおわかりいただけると思います。
(1)目的と動機
成果主義導入の真の理由は、団塊の世代を中心とする将来的な人件費の膨張を防ぐ「人件費の抑制のため」でした。成果主義は日本では1990年代前半から導入され始めましたが、きれいな言葉でどう繕おうとしても人件費コントロールあるいはリストラのためのツールというネガティブなイメージが、今日では社員たちの心に根付いてしまっているのです。
(2)評価制度の設計
人事部主体で評価基準を作っているため、内容が現場の実態を反映していないという評価制度自体の「設計の問題」も挙げられます。実際のところ今までと何も変わらず、結局結果の数字だけで評価され、目標の難易度・環境の違いなどは加味されないという現場の不満は根強いようです。
(3)運用
どんなによい評価制度を作っても正しく運用されなければうまくいかないのは当然です。評価制度、運用、そして組織文化が三位一体にならなければ、よい評価は行われません。
(4)評価作業の手間
評価される人間の一生を左右する大切な評価なのに、手間や負荷を言い訳にしているようでは困ります。評価で部下のモチベーションを下げてしまえば、結果的に業績も上がりません。評価で手を抜けば、結局は回りまわって上司自身のところにかえってくるのです。
(5)評価の実態
表面的には成果主義で公平に評価すると言いながら、実態は相変わらず上司の好き嫌いで人事評価を行っているようです。これは、日本的な評価の本質的な部分が年功序列の時代から変わっていないという問題を示しています。
(2009年10月17日)