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コラム

プロセス評価のつくり方(前半)― プロセスの定義

 

フリクレアは、①結果を出すための「プロセスの標準化・見える化」と、②見える化したプロセスを人事評価に連携させた「プロセス評価」、この2つを事業の柱とする「プロセスコンサルティング」というニッチな仕事を行っています。

今回は2番目のプロセス評価に焦点を当て、そのつくり方について前半/プロセスの定義・後半/プロセス評価の設計の2回に分けて解説します。

 

プロセス評価の進化

 

プロセス評価といってもその実態は、抽象的で曖昧な定性評価がほとんどですが、昭和~平成~令和と時代を経て少しずつ進化はしてきています。

簡単にその進化の過程を説明すると、(第一世代) がんばっていそうな人を上司の主観で評価する「精神論的なプロセス評価1.0」 → (第二世代) 定性的な文章で書かれたあいまいなプロセスを評価する「定性的なプロセス評価2.0」 → (第三世代) 成果に結びつく業績貢献型のプロセスを評価する「進化したプロセス評価3.0」という流れです。

 

進化したプロセス評価®とは

 

今回コラムで紹介するのは第三世代の‶進化したプロセス評®のつくり方です。進化したプロセス評価®は、目に見える仕事の結果だけを人事評価の対象にするのではなく、結果に至る途中の「プロセス」も見える化して評価することで、社員のモチベーションを高めながら、より公正かつ客観的な評価を行おうとするものです。

 

進化したプロセス評価®の特徴は、できる社員のプロセスを標準化・見える化した「標準プロセス」を、プロセス評価と連携させて実施効果を高めるという点です。また、進化したプロセス評価®は「プロセスの見える化」+「人財育成」+「人事評価」+「ITツール」をセットにして考えるという点も特徴的です。

 

そのために、会社の業績改善や生産性向上につながるプロセスをまず「標準化」します。次に、社員が実際行ったプロセスをデータやKPIで測り「見える化」します。そして見える化したプロセスへの取組を、「プロセス評価」という形で可能な限り定量的に人事評価を行うのです。

 

さらに詳しく知りたい方はこちら → 〝進化したプロセス評価®〟による人事制度・評価コンサルティング

 

プロセス評価設計の手順

 

プロセス評価を行うには、図1のように標準プロセスをまず先に固める必要があります。次に標準プロセスをベースにして、プロセス評価の設計を行うという順番です。つまりプロセス評価設計の手順は、【プロセスの定義】①~④と、【プロセス評価の設計】⑤~⑧の2つのパートに分かれます。以下、本コラムでは、2回にわたり前・後半に分けてこの手順に沿って解説していきます。

 

(前半)【プロセスの定義】

① 組織の課題と目的を整理する

② 業務プロセスを3つの軸でとらえる

③ 4つのステップでプロセスを標準化

④ 標準プロセスを見える化ツールにまとめる

※ポイント: プロセス評価設計の前に、プロセスの標準化を行う。

 

(後半)【プロセス評価の設計】

⑤ 人事制度の現状分析 ~ 課題と目的の整理

⑥ 評価要素を決める

⑦ 評価シートを設計する

⑧ 実施要領をまとめる

※ポイント: 成果を担保する具体的なプロセスを評価の対象とする。

 

(図1)プロセス標準化⇔プロセス評価の連動

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(前半)【プロセスの定義】(標準プロセスを決める)

 

① 組織の課題と目的を整理する

 

 まず、プロセスを標準化・見える化するために、組織の課題と目的を整理します。進めていくうちにゴールや方向性がブレないようにするためです。課題と目的をちゃんと明確にしておかないと、途中で何のためにやっているのかわからなくなり、本来の趣旨からずれたりします。

地味な作業だと思われるかもしれませんが、この基礎をないがしろにし現状を正確に把握することを怠ると、‶標準プロセス〟を構築しても課題を解決することはできません。

 

具体的にはコロナ禍の今であれば「テレワークの見える化」や「ハイブリットワークへの移行」といったところでしょうが、今までおざなりになっていた「属人化しているノウハウの共有」「人財育成の基本の型づくり」といった本質的な課題に、この時期だからこそ取り組もうとされているところも意外と多いのは頼もしく感じます。

 

その他の課題例として【よくある営業の課題トップ10】も参考までにどうぞ → 〝進化したプロセス評価®〟による人事制度・評価コンサルティング 

 

② 業務プロセスを3つの軸でとらえる

 

「プロセス」というと、多くの方が横一本の直線のようなものをイメージされることが多いのですが、それほど単純なものではありません。進捗や活動により、やるべきことやチェックすべき項目が異なるため、そのとらえ方は複雑になります。

そこで、プロセスをわかりやすくするために、図2のように「進捗」「活動」「やるべきこと」という3つの軸でとらえて立体的に表現するのがフリクレア独自の3次元プロセス分析法®です。

 

(図2)3次元プロセス分析法®の3つの軸

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通常は、「進捗」「活動」「やるべきこと」が頭の中で混在していて、整理されていないのです。そこで、このように3つの軸によりプロセスを3次元的・立体的にとらえるとわかりやすくなります。

単純な横一直線の軸ではなく、プロセスを3次元的・立体的にとらえて、見える化ツールでわかりやすくすると、業務を俯瞰して把握できるようになります。これが、プロセスの標準化や見える化のはじまりです。

 

もっと詳しく知りたい方はこちらのコラムもどうぞ → 3次元プロセス分析法®

 

③ 4ステップでプロセスを標準化

 

フリクレアが考えるプロセスとは、「業績アップや生産性向上のために必要だと会社が認めた“標準プロセス”」のことです。標準プロセスを整理する4つのステップ(以下“4つのステップ”)を説明します。

簡単にいうと4つのステップは、「ステップ①|目的を決める → ステップ②|進捗を決める → ステップ③|活動を決める → ステップ④|やるべきことを明確にする」という順をたどります。

 

<ステップ① 目的を決める>

前述したように、プロセスの整理を行う前に、「何のためにプロセスを標準化するのか」という目的を明確にします。理由は目的によってプロセスのまとめ方が変わってくるからです。深堀して強調するプロセスも違ってきます。

目的が大切と言ってもピンとこないかもしれませんが、適切な目的の設定が、プロセス標準化~見える化が成功するか否かの鍵を握ります。目的が最終ゴールに迷わずに到達するための道標なのです。

 

<ステップ② 進捗を決める>

次は「進捗」です。進捗は、(1)顧客が商品やサービス購入を検討する際の検討状況の進捗、あるいは、(2)受注など自社のゴールを達成するための進捗です。

進捗はプロセスをまとめる上での大切な時間軸となります。進捗がないと、このあと説明する「活動」や「やるべきこと」が頭の中でごっちゃになり、まとめにくくなります。

 

<ステップ③ 活動を決める>

3番目は「活動」です。進捗を進めるために、顧客に対して行う社外活動や、社内でやらなければならない社内活動などです。いわゆるプロセスというと、みなさんこの活動のことをイメージされるケースが多いと思います。

 

<ステップ④ やるべきことを明確にする>

最後に「やるべきこと」を明確にします。やるべきことは進捗や活動に応じて、気をつけなければならないこと、組織で共有したいポイントやノウハウ、気をつけなければならないこと、チェック事項などです。ステップ③で整理した「活動」にひもづける形で、徹底・強調したいことをまとめます。

 

重要なポイントなので繰り返しますが、「プロセス評価設計の前に、プロセスの標準化を先に行います」。標準プロセスがプロセス評価を設計する基本であり、業績改善に貢献するプロセスを具体化し、人事評価と連携させる架け橋になります。

 

深堀したい方はこちらのコラムもどうぞ → プロセスをまとめる4つのステップ

 

④ 標準プロセスを見える化ツールにまとめる

 

4つのステップで標準プロセスを俯瞰的・多面的な視点から整理しながら‶見える化ツール〟という資料にまとめていきます。

見える化ツールがプロセス評価設計でプロセス要素を検討するためのベースになるので補足します。見える化ツールは仕事の全体像を1枚のシートで見える化する〝プロセスシート〟と、その詳細ノウハウをまとめた〝標準プロセスの手引き〟で構成されます。

 

プロセスシートは、前述した「進捗」「活動」「やるべきこと」の3つの軸でまとめた標準プロセス全体を、パッと一目で見渡せるように1枚のシートにしたものです。複雑な業務プロセス全体の俯瞰図となり、成果を上げる仕事の流れを見える化できるのが特徴です。

 

標準プロセスの手引きは、一つひとつの標準プロセスの内容を詳しく解説します。プロセスシートでキーワードやキーセンテンスだけを記載しますが、それだけでは詳細がわからないので、それぞれの標準プロセスごとに役に立つノウハウや注意すべき点まとめたものです。

OJTで上司・先輩から部下・後輩に口頭で教えていることを、小冊子の形で明文化・形式知化します。マニュアルには書いてない本当に知りたい肝心なポイントにしぼり、長くなりすぎないよう数行程度で記載します。

 

前回のコラム(ジョブ型雇用を成功させるために職務定義書をしっかりつくる)の中でも‶使える職務定義書〟として説明してありますので、ご興味あればそちらも参照してください。

 

 

評価的な話に戻りましょう。「コンピテンシーモデル」という言葉があります。人事マネジメントで使われる言葉ですが、その定義は「ハイパフォーマーに求められる行動特性をモデル化したもの」です。標準プロセスは、従来の数行程度の抽象的な文章によるコンピテンシーモデルを進化させ、「できる社員の行動パターン」や「役職ごとに果たすべき役割」を再現しやすいように具体的に示してくれます。

 

見える化ツールは人事評価において、会社業績に貢献する評価設計の大切な基盤となります。ジョブ型の場合は、「職務定義書」としても使えます。

さらに「人財育成の基本の型」、すなわち研修やOJTなどの人財育成のベースにもなります。また、組織内で仕事を円滑に進めるための「共通言語」の役割も果たします。やるべきことをプロセスで因数分解して示すことで、強み・課題・改善点などが具体的に浮き彫りになるため、ボトルネックがどこにあり、どこから手をつけるべきか指し示す「課題解決のための羅針盤」にもなります。

 

 以上、プロセス評価を設計する前半のパートとして、【プロセスの定義】を行う4つの手順を解説しました。次回は引き続き後半の【プロセス評価の設計】についてお伝えする予定です。

 

 

今回も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

プロセス評価にご興味のある方、ジョブ型雇用を導入したいが検討で悩まれている方は こちらからご連絡ください。

 

⇨ コラムへのご意見やご感想は info@flecrea.com 

 

 

()フリクレア 代表取締役

山田和裕


(2021年08月26日)

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