ハチドリのひとしずく ― 会社を良くするために一人ひとりができること
ハチドリのひとしずく
ハチドリという鳥をご存じでしょうか。英語名はハミングバード。飛ぶときの羽音がハチのブーンという音に似ているところからつけられたそうです。
南アメリカの先住民に伝わる「ハチドリのひとしずく」という物語があります。それはこんなお話です。
“ 森が燃えていました。
森の動物たちは、みな逃げることに必死です。
ところが一羽のハチドリだけは違います。
細い口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは、
燃えさかる火の上に落としていきます。
逃げまどう他の動物たちはそれを見て笑います。
「そんなことをして、いったい何になるんだ」
ハチドリは答えました。
「私は私にできることをやっているだけさ」”
物語の続きを創るのはあなた
この本の驚きは、物語がここで終わっていることです。この話の続きは、私たち一人ひとりが創り上げるものなのです。
ネットで検索すると、地球環境問題や子供の教育につなげていく展開が多いようです。私の場合はアナロジーを働かせて、ビジネスに関連づけながら考えてみました。
ハチドリの話にハッとした動物たちは、
思い思いに自分のできることを考えてみました。
サルは仲間に声をかけて相談しました。
協力して水の入ったバケツを使って火を消しはじめました。
ゾウは自分の鼻がホースのように使えることに気づきました。
鼻に水をたくさん吸い込んで火にかけました。
その姿を見て他の動物たちも、それぞれの想いで
1匹、2匹と火を消すのを手伝い始めました。
言うべきことを言わない日本人
ビジネスにおいても一人ひとりができることは限られています。会社のルールや慣習をなかなか変えられずに、無力感に襲われることも一度や二度ではありません。
いや、このような話を知らずに放っておかれれば、普通の人は無力感におしつぶされてしまうはずです。
以前新聞で、“日本はそもそも言うべきことを言わない文化である”という話を読んだことがあります。
「みんなが変えなければならないとわかっていることがあっても、誰もなかなかものを言わない。ことがさらに悪化し、どうしても手を打たなければまずいという局面に至ると、心ある人が意を決して正しいことを言う。
他の人はその人を応援するかと思えば、ここでもまだものを言わず、結局はその勇気ある人を見殺しにしてしまう。それを見て、人はますますものを言わなくなる…」という話です。
一人ひとりの力を信じて
現実の社会では信念を持った行動者を、「そんなことをして何になる」と冷笑しがちです。
しかし、信念を持った行動者を見殺しにせず、みんなで支え協力すれば大きな力になることは間違いありません。
実際のところ、この話のようにハチドリの勇敢な行動として例えられると、ほとんどの人が同じようなハッピーエンドの続きを思い描くのではないでしょうか。
子どもの教育にこの話を実際に用いたある小学校では、数百名の生徒の作った話の続きは、99.9%が「ハチドリの姿を見て、森の動物たちも火を消すことに協力し、森の火は消えた。」だったそうです。
自分の組織の問題に対して何もできずに、無力感を感じている人も少なくないはずです。この話に触発されて、もう一度自分でできることを考えてみる機会になればと切に思います。
周りの人にも協力を要請し、その想いを丁寧に繰り返し説明すれば、少しずつでも良い方向に向かって変わっていくのだと信じたいです。
時間も手間がかかるでしょう。近道もありません。でも、無力感に負けてそのうち誰か他の人がやってくれるだろうと、他力本願で待つよりは早いはずです。
あなたの会社や組織では森は燃えていないでしょうか?
物語の続きを創るのはあなたです。
参考文献:
『ハチドリのしずく』(監修:辻信一)
https://www.amazon.co.jp/dp/4334974910/
沖縄市立美東中学校 学校だより『美東Pride 7月号』(令和2年7月15日発行 発行者 校長 田港朝満)
https://www.fureai-cloud.jp/bitou-jh/attach/get2/800/0
(関連サイト)
普及ラインとキャズム ― プロセス主義®をどうやって浸透させる(1)
社内浸透度を高める ― プロセス主義®をどうやって浸透させるか(2)
抵抗勢力が反対する理由 ― プロセス主義®をどうやって浸透させるか(3)
抵抗勢力を巻き込む ― プロセス主義®をどうやって浸透させるか(4)
今回も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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(株)フリクレア 代表取締役
山田和裕
(2022年05月25日)