カナリアの警鐘
「炭鉱のカナリア」という言葉があります。かつてガス探知機がなかった時代には、炭鉱夫はカナリアをカゴに入れて坑道を進みました。それはカナリアが有毒ガスを敏感に察知するからです。この危険察知能力が、多くの人の命を救いました。そこから転じて、「人の一歩先を歩き危険を察知して警鐘を鳴らすのが、○○の務めである」というように、その任にある人物が果たすべき役割を示し戒めるための比喩として使われます。
ここから会社においても、危機を察知して警鐘を鳴らし、正しい方向に導くような働きをする能力をカナリアの警鐘と表現できます。
「プロセス」には、業務プロセスだけでなく、業績改善など会社が良い方向に向かうプロセスや、逆に業績悪化、組織崩壊など会社が悪い方向に向かうプロセスという意味も含まれます。
「カナリアの警鐘」を鳴らす基礎能力をもった人とは、このような会社のプロセスを高い視点から俯瞰的に見て軌道修正できる人です。すなわち、会社が誤った方向に進もうとしている時に警鐘を鳴らし、正す働きのできる人です。
人に好かれる「いい人」ではなく、時には嫌われ非難や攻撃の対象になっても、正しいことを貫ける意志の強さをもつタイプ。特に、現在のように先行きが見えない混沌とした経済状況の時代にあっては、このタイプがリーダーシップをとらなければ切り抜けられません。
(2009年05月08日)