21世紀の人事評価④ チーム力を強化する評価
(21世紀型評価は個人主義に陥りやすい)
以前の日本では、チームで協力しながらやっていくという考え方があたり前でした。ところが成果主義の導入以降、個人の成果にフォーカスを当てすぎたあまり社員が個人主義に走り、社内のチームワークが失われてきたとよく言われます。
実は成果主義の輸入元であるアメリカでも、成果主義のおかげで元々個人主義的な国民性の土壌の上に、さらに個人主義が強調されてしまうという問題が起こりました。そして実はその解決策のお手本として、日本のチームワークが学習されたのです。
日本の強さを逆輸入で学ぶというは情けない気がしますが、ここは先に成果主義の失敗を経験しているアメリカの例に見習いましょう。本来は日本企業の強さの源であったチーム力を、現在の状況に合う形で見直して正式な奨励事項として評価の中に取り入れ、組織的に取り戻す必要があるのです。
【21世紀型評価はチーム成果への貢献度を評価する】
日本の高度成長を支えたのは、親しい人間関係を通して築かれた社員同士の“信頼関係”と“気配り”でした。継続的に結果を出せる優れた組織に共通の特徴は、「社員が自分の存在や貢献度がきちんと認められる人間的な温かみのある環境(チーム)の中で、モチベーションや成長を感じながら自律的に働くことができること」です。
そろそろ、個人の結果や数字ばかりを追求する誤った成果主義から目を覚まし、日本の強みであった人間性重視のチームワーク経営に戻るべきです。
チーム力を活かす組織(チーム型組織)では、まず各メンバーが主に担当すべき業務を明確にします。図のように、営業課であれば、課長は、決裁者との関係構築や重要プレゼンに専念。係長は、提案のまとめ役や通常プレゼン。一般担当は、アポ取りや案件発掘、提案準備などの基本作業に集中するなどです。
チーム力を発揮し目標を達成するためには、マネジャーが各メンバーの強みを活かせるよう考慮しながらメンバーを効率的に組み合わせ、また各人は自分に求められる役割をきちんと果たすことです。
評価においてはチーム評価と個人評価がありますが、チーム評価を優先させます。担当レベルでは、本人が担当しているやるべき業務をどれだけこなしているかという「チーム成果への貢献度」を評価するようにします。チームの目標数字を頭割で割ったような単純な数字(売上)だけを、成果としないことです。
尚、マネジャー以上の評価では、部下の力の結晶である「結果」を主とします。
21世紀型評価では、個人の結果数字だけでなく、チーム成果への貢献度を評価することによりチーム力を強化します。
(2010年11月12日)