【習+守・破・離】
人財育成というテーマを考えると、古来から日本の茶道や武道でいわれてきた「守・破・離」の教えに学ぶところが多いことに気づきます。私自身はまず習うことから始めること「習」を守破離の前に加えた『習+守・破・離』の考え方の方を好んで使います。
『習+守・破・離』まず、「型」を“習”う。
そして、まず手本となる「型」を身につけて“守”る。
型がしっかりと身について初めて、新たな型を超えるさまざまな試みを行う“破”に入ることができる。そして、最終的に“離”として、新しい独自のやり方を創造することが可能になる。
守破離のプロセスの中で最も重要とされる「守の段階=型を覚えること」の解釈はこうです。
「日本人は「型」というものが好きな民族だと思います。というのも、まずは「型から入る」というのが、何事かを身につけるうえでの、日本人の一般的なアプローチの方法だったからです。」
「型が多くのファストフードのマニュアルと違う点は、型を身につけることで、型に見合った精神性を持つことが期待されているということです。型は型で終わるものではない。型をつきつめ、永年の修業、稽古を重ねることで、まさに習い性となるがごとく、その型にふさわしい人格が形成されるという考え方です。」(静岡文化芸術大学学長 熊倉功夫/日本文化史・茶道研究家)
人財育成のテーマに戻ると、人財育成を効率的に進める基本の「型」となるのが“標準プロセス”です。標準プロセスとは、業績向上や業務効率の改善につながる有効なプロセスのことです。
社員の行動をマニュアル化し型にはめるのではなく、各人の成熟度や時々の状況に応じて、標準プロセスそのものも変化していきます。社員の成長を促し、最終的には自発的動機で働くことのできる自己実現型人財の成長を支援するものです。
(詳しくはコラムNo.58「人財育成の基本の型」を参照ください)
人財育成におけるフリクレア流『習+守・破・離』を、以下のように考えています。
フリクレア流『習+守・破・離』
習: できる社員のプロセスを整理して標準プロセスをつくり、それを「共通理解の基本」や「共通言語」として共有する。
守: 標準プロセスがきちんとできているかを徹底させるため、測る化・見える化して検証。そして、人事評価でも支える。
破: 標準プロセスを継続的にカイゼン。
離: 経済環境やビジネスモデルの変化に対応して、標準プロセスのリエンジニアリングを行ったり、新たな型をつくる。
(参考文献)
「型と場のマネジメント」
「型を作って易行にする。型を学んで守破離を極める」(Works 100記事)
(2013年01月11日)