- HOME≫
- コラム≫
- 人財育成(人材育成)≫
- 人財育成の4点セット
人財育成の4点セット
研修だけでは人は育たない
人財育成というと、「OJT・研修」を連想しがちですが、それだけでは人財育成はうまくいきません。
じゃあどうするかというと、この図のようにまず人財育成のベースとなる「プロセスの見える化」、「人事評価」、そして「DXツール」を連動させて、4点セットにするのが効果的です。
「プロセス見える化」が必要なのは、まず人財育成の基本の型を明確にするため。そして、研修テキストの内容を、会社の実際の業務に合わせたものにするためです。
「人事評価」で人財育成を支えていく必要もあります。なぜなら、プロセスを大切にするよう研修で教えても、人事評価が結果の数字しか見ないのであれば、プロセスがないがしろにされ、人財育成も進まないからです。
「DXツール」(SFA/CRMなどの営業支援システム)は、この【OJT・研修 + プロセス見える化 + プロセス評価】を連携させながら回していくための、大切なプラットフォームになります。
これら4つの要素について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
「OJT・研修」のよくある欠陥
まず「OJT」から始めます。人財育成といっても、残念ながら、営業の場合は、きちんと体系立てられた教育システムが確立されている会社は少ないです。ほとんどが現場の上司や先輩社員によるOJTに依存しています。
OJTの最大の欠点は、教える側であるインストラクターの質(当たり外れ)による差が大きいことです。本人同士の相性もあり、OJTのみで人財育成を行なうのは不確実性が高くなります。
「実績を上げ続け、聞けばわかりやすく教えてくれるし、おまけに人柄も尊敬できて面倒見もいい」。運よくそんな理想的なインストラクターに当たればいいのですが、そのどれか1つを備えていればいい方で、反面教師についた場合は、自分自身で考え、試行錯誤しながら遠回りするしかありません。
一方、上司や先輩も忙しいので、以前ほどは部下の育成に時間をかけられないのが現実です。このような状況下で人財育成が経営課題として挙げられ、効率的な解決手段が求められているわけです。
次に「研修」。研修の内容自体は受講者が満足できるものも多いのですが、どんなによいプログラムでも、1回限りの単発の研修だけでは打ち上げ花火のようなものです。1ヶ月もすればそのほとんどの内容を忘れてしまいます。忘却曲線の話ですね。
研修を受けた人は学んだことを実践する気満々でオフィスに戻ります。しかし、上司からの心ない一言で、もとのやり方に逆戻りです。「研修に参加するのもいいが、今月の数字はちゃんと行くんだろうな?」
また、外部講師が一般論やその人の持論をベースにした研修の場合は、研修を受ける会社の業務内容を良く知らず言葉も違うため、心に刺ささりにくいものです。
テーマごとに異なる担当者と専門家が、それぞれの思いとメソッドでプログラムを用意するため、全体から見ると一貫性に欠ける点も大きな問題です。言葉も統一されずバラバラになりがちです。部分最適的な研修の集合体になるわけです。
「プロセス見える化」が育成効果を最適化する
プロセスの見え方には役割が2つあります。まず一つ目は、プロセスの標準化・見える化で「人財育成の基本の型」をつくることです。
「できる営業の行動パターン」を基本の型として整理して、マネさせるだけで、営業員の成長スピードを早めることができます。そして、その結果として業績アップがついてきます。
→ 基本の型の話は、プロセスの「型」を人財育成に活かす ー 人財育成(1) を参照。
二つ目は、バラバラの研修の内容を統一化することです。普段の業務で具体的に活かせるようにし、なおかつ効果を長続きさせるものが必要になります。 その橋渡しの役を果たすのが見える化ツールです。
つまり見える化ツールを、テーマの異なる研修の会社としての方向性やコンセプトを統一する上位概念として、また研修設計の前提として知っておくべき基本的な共通理解として、あるいは、個別の研修プログラムを普段の業務に活用するための橋渡しとして、活用するのです。
まず、営業業務全体を俯瞰しながら、全体最適につながるよう方向性と言葉の統一を図ります。
その上で、OJTや研修で学ぶべきことを言語化して資料にきちんと反映します。日々の業務の中でやるべきことを標準プロセスに分解してわかりやすくまとめます。
見える化ツールは、業務を進める中で疑問に感じている点や、理解が不十分なところがある時、上司や先輩、同僚に尋ねるなどして理解を深めていく際の手助けにもなります。
漠然と質問するよりも、標準プロセスという共通言語で、質問する部下も指導する上司も、具体的なポイントを示しながら話ができるので、理解のズレもなくなります。
そこで見える化ツールの出番です。基本の型と共通言語があれば、仕事を進める上での理解や意識のギャップが少なくなるので、視点の違いを示して、ズレを修正しながらチームとしての方向性を合わせていけるのです。
「人事評価」で支える
見落としがちですが、人財育成をプロセス評価で支えることはとても重要です。人財育成のために標準プロセスの取組を徹底させようとして、上司がいくら「プロセスが大切に」と唱えても、人事評価が従来通り「結果の数字」しか見ないのであれば、営業にとっては面倒くさいことが増えるだけで、何のメリットもありません。メリットがなければ、真面目に取り組もうとする社員が少ないのは当然です。
そのため、本来の意図が理解されずに、「なんか面倒くさいな~。適当にやっておこう」くらいにしかとってもらえず、失敗につながるケースも出てきます。
特に、最近の複雑化する提案型営業は、扱う商品によりますが、3ヶ月~6ヶ月、場合によっては1年以上にわたる長い時間を要することもあり、単年度評価ではその貢献に十分報いることができません。
結果が出るまでの、途中のプロセスも評価してくれなければ、氷山の下にある見えにくいプロセスにコツコツと真面目に取り組む社員のモチベーションが上がるはずがありません。
だから、人事評価でも人財育成を支えなければならないのです。ただ、問題提起だけしても仕方がないので、対応策も説明しておきます、フリクレアでは「見える化」と「プロセス評価」をドッキングさせた「進化したプロセス評価®」、という独自の評価制度を提唱しています。
その3つの特徴を軽く説明しておきます:
①結果を担保する「できる社員のノウハウ」を、“標準プロセス”として整理する
②標準プロセスを、”基本の型”&”共通言語”として人財育成に活かす
③標準プロセスへの取組を、データ化&見える化して、人事評価にリンクさせる
→ 進化したプロセス評価®についてはこちらを参照。「プロセス見える化と人事評価を連携させた独自のプロセス評価をご提案」
「DXツール」でデータ見える化する
SFA/CRMなどの営業支援システム(以下“DXツール”)は、「OJT・研修」 +「プロセス見える化」 + 「プロセス評価」を連携させながら回していくための、大切なプラットフォームになります。
DXツールの大切な役割のひとつは、営業活動を見える化することです。(実際は数字の集計ツールと化していますが、もったいない話です・・・) 営業がどういうプロセスに時間を使っているのか、やるべきことがちゃんとできているのか、データ化することで客観的に判断することができます。
営業が顧客と折衝している“有効営業時間”の測定や、「できる営業」と「できない営業」の行動パターンの違いをデータで見ることができます。
こういったデータを使って、セルフマネジメントやコーチングすることが可能になります。
→ 有効営業時間については、「有効営業時間がどれくらいあるかご存じですか?」
→ コーチングについては、「できる人 vs できない人 その差はどこに?」を参照。
このようなデータが、DXツールをうまく活用すると、リアルタイムで見られるようになります。
そして、人財育成を人事評価で支えることの大切さも上で説明しましたが、DXツールで収集した営業の活動データは、プロセス評価の評価項目としても使えます。
また、行動分析のグラフやチャートにすることで、人財育成のための貴重なフィードバック手段としても活用するのもおすすめです。
→(参考サイト)21世紀の人事評価⑬ データに裏付けされた評価
人財育成の関連要素は個別に最適化されがちです。そのことに気づいている人は多くはありません。
責任者や担当者が縦割りの組織で分かれている場合が多いからです。「OJT・研修」「プロセス見える化」「人事評価」「DXツール」という人財育成に必要な4つの要素がバラバラに運用されていて、効果的につながっていないケースがほとんどなのです。
人を育てるためには、この「4つの要素」をバランスよく連携させるのがポイントです。人財育成の基本の型を標準プロセスで示し、その取組をDXツールでデータで見えるようにする。そしてプロセス評価で支える。それが営業力強化や営業の底上げを図る場合の「成功の秘訣」です。
半年(6回)にわたって人財育成シリーズは今回で一区切りとなります。次回は引き続き人財育成とも関連しますが、トーンを変えて、さじ加減の難しい社員のほめ方について考えてみたいと思います。
今回も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
人材育成の基本の型づくり、営業強化のためのプロセス見える化に興味があるの方は こちらからご連絡ください。
⇨ コラムへのご意見やご感想は info@flecrea.com へ
(株)フリクレア 代表取締役
山田和裕
(2022年12月26日)