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若手育成に効果抜群 見える化教育 ― 人財育成(4)
若い世代をどう育成すればよいのか?
ただでさせ部下を育てる余裕がない状況なのに、さらに、マスコミが囃し立てる“ゆとり世代”や“Z世代”(以下“若い世代”)をどう育成すればよいか、という新たな課題も追い打ちをかけます。
詳しくは他の専門書に譲りますが、営業リーダーが最低限理解しておかなければならない「若い世代の3つの特徴」にしぼって考えてみます。
「マニュアル好き」だが、成長意欲が高い
かつては「型にはめられたくない」という考え方が健全だと考えられていました。しかし今の若い世代は、逆に「ノウハウを提示してもらった方が楽だ」と思っています。自分のことを客観視できるので、“基本的なことがわかっていない世代”だという自覚もあります。
会社に過度の期待はしていない反面、社内出世という狭い世界だけを見ているわけではありません。転職して他の会社に移っても「どこでも通用する人材」を目指す傾向があります。
本当の能力を求めているので、仕事の本質といった根源的なことも知りたがります。実は本当の意味での成長意欲が高いのです。
ですから、仕事の意味を伝えずに「いいからやれ」では納得しません。できるだけ全体像を見せ、社会貢献につながるような意義を理解させることがコツです。組織の歯車や意思を持たない道具ではなく、業務全体の中で自分の貢献度を認識させることも大切です。
内容的に難しいので理解できないのではとか、まだ早いのではないかという配慮は不要です。情報処理能力に長け知的レベルが高いので、情報が多くでも戸惑わないといういい面も持っています。
反面、全体像や情報を提供してもらわないと、指示されている仕事の本当の意味を理解するのが苦手な面があります。意味がわからないとやらされ感が増し、言われたことをきちんとやらないという悪いパターンに陥ります。
ポイントはできる営業(他社でも通用する尊敬される営業)になるための参考書やチュートリアルとして標準プロセス資料をしっかり用意すること。そして、仕事のベースとして、「やるべきこと」= 当たり前のことをわかりやすく示すことです。
自分が育てられたのと同じように育てるという発想は捨てなければなりません。
「質問できない世代」だから、やるべきことを明確に示す
「わからないなら、どうして聞きに来ないのか」「わからないことがあれば、自分から質問するのが当然」。そういうふうに教えられた営業リーダー世代は、理解に苦しむかもしれませんが、若い世代は“聞きたくても聞けない世代”だという指摘もあります。
なぜでしょうか? この世代は繊細で考えすぎてしまう傾向があるからです。質問が苦手なのです。
自分への評価を気にする、特にマイナスの評価を恐れるというこの世代の特性もあるようです。話の内容を理解していないと思われるのがいやなのです。「変なことを言ってはいけない」「間違ってはいけない」という意識が強いというのは、繊細な一面とともに自尊心の高さを表しています。
自分のやり方が正しくないことに必要以上に不安を感じ、SNSで人のつながりを大切にする世代。他人からのいいね!的なフィードバックを求める反面、間違っていないはずだと信じることができると、自分だけでやり通そうとする面も持っています。
ゴールを自分で達成したいという心意気は、自立精神を示すものであり成長の原動力。営業リーダー世代も同様の気概を持っていたので理解できるはずです。
ただし、その理解が上司が求めているものとズレていると問題です。上司と部下で意識がずれるのは普通なので、その前提で上司が先手を打つべきです。
繰り返しになりますが、ポイントはまず標準プロセスを示す。次に、やるべきことの明確化。そして、それがちゃんとできているかのプロセスマネジメントです。
「標準的なものがよい」という無難な教育を受けているので、標準プロセスを示すことで迷いがなくなります。質問のきっかけや疑問点も具体的になるので、安心して質問もできるようになります。
上司も「ここに書いてあるよ」という指摘も簡単なので、余計な質問対応や何度も同じことを言うストレスから解放されるメリットもあります。
「ほめてもらいたい世代」なので、プロセスをほめる
ほめられて育ってきた世代なので、もっとプロセスをほめてもらいたいと考えています。ほめてもらわないと、自分のやっていることは正しいのかどうかわからず不安になってしまいます。ポイントは、結果だけでなく、プロセスもほめることです。
給料を上げるのは簡単ではありませんが、ほめるのはタダです。ささいなことでほめるのは本人のためにならないという古い考え方は捨てましょう。自分達の世代に比べて面倒くさいと感じるかもしれませんが、常に若者は変わっていくもの。
営業リーダーは時代の変化に合わせて進化するのが仕事であり、さらに上を目指す条件です。割り切って“プロセスをほめてやらなければならない世代”だと考えて接してください。
プロセスを追っていけば結果に到達できるように、段階的な小さな目標やチェックするプロセス指標を設定し、それができれば大きな進歩でなくてもほめてあげる。まず結果よりプロセスです。
スモールステップとして、やるべきことを一緒に設定して、ゲーム感覚で進捗を進めていきましょう。コミュニケーションの一つの進化形だと考えてみてください。
報連相をしっかりというのはビジネスの基本ですが、若い世代には期待しすぎない方がよいようです。でも、これは若い世代にはかぎりません。いつの時代も、報連相がしっかりできていないから上司は口うるさく言うのです。
営業活動や案件進捗が問題なく進んでいるのかを確認し、マネジメントするのは営業リーダーの義務です。確認してちゃんとできていればほめる、できていなくてもトライしていることや前回よりは進んでいることを認める。これがこれからの人財育成の基本です。
ほめられて悪い気のする人はいません。営業リーダーも本当はもっとほめて育ててほしかったのではありませんか? 厳しく教育するのは日本が大きく間違った戦時教育以降の悪い流れであり、誤った常識の一つでもあります。そろそろ厳しく育てなければならないという呪縛から自分を解き放ち、心のスィッチを「しかって管理」から「ほめながら育成」に切り替えてみてはいかがでしょうか。
「しかるより、ほめて伸ばす」これが今時の人財育成の常識です。まずは、営業リーダーが、小さなことでも「ほめることを基本にした人財育成」を明日から実践することです。
本当はもっと早く人間心理の本質に気づき昔からこうすべきでした。実はほめるためにはそれなりの洞察力と努力が必要です。人の癖や好み、その結果として現れる行動をよく観察して、長所を見抜くことが求められます。ほめることにより、他人の本質を見ることが習慣づけられ、営業リーダーにとって最も重要な資質である人を見る目も養われます。
若手育成を支える制度としての“進化したプロセス評価”については、こちらをご覧ください。
次回は「(仮題)いつの世も変わらない人財育成の本質」を予定しています。
今回も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
標準プロセスを活用した人材育成の基本の型づくり、営業強化のための人財育成に興味があるの方は こちらからご連絡ください。
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(株)フリクレア 代表取締役
山田和裕
(2022年10月25日)