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人財育成の五合目までの近道 ― 人財育成(3)
人財育成の今と昔
かつての高度成長期までは、人も時間も余裕があったので、OJTが機能していました。
ある程度基本を教えたら、その後は自分でトライさせる。社員は工夫や失敗を繰り返しながら、自分で考え成長していく。上司は必要なアドバイスを与え、部下の成長を暖かく見守る。失敗したらフォローして、崖からは落ちないようにする。
こういった余裕のある中・長期的な育成が可能でした。
しかし、以前に比べて、営業現場はやることが増え多忙を極めています。今はプレイングマネージャー化しているので、上長も余裕がありません。新人・中途社員の育成にかけられる時間は限られています。その結果、部下の育成が手薄になってしまっているのが課題です。
片や、若い世代の気質も変わってきて、失敗を恐れるようになっています。その半面で、マニュアル好きで成長意欲が強い傾向があります。
前回コラムでも解説したように、無駄な寄り道をしないように「人財育成の基本の型」を教えるのが、今の時代にマッチした成長の早道なのです。
厳しい言い方かもしれませんが、基本の方も教えずに、レベルに差がある営業員全員に、自分で考えて行動しろという前時代的な指導法はには無理があります。時代遅れも甚だしく、組織としての責任放棄と取られても仕方がありません。
上司の背中では学べない
こういった環境下、育てる側も悩まずにはいられません。以前のような厳しい指導は、今の時代ご法度です。本人のためによかれと思って指導したつもりでも、すぐパワハラ呼ばわり。
かつてのような「上司の背中を見ろ」ではもう通用しません。「先輩の技を盗め」「ちょっと言いすぎた時は飲みに連れて行く」。今の若者には受けないと知りつつも、そんなやり方しか知らない中で多くの管理者が悩んでいるわけです・・・
自分は優しく丁寧に教えてもらったことなどないのに、時代に合わせた指導法を模索するしかありません。
数字を追うことばかりに囚われれば、部下の育成は優先順位が下がりおろそかになります。これで果たしてよいのかと自問しつつも、他のやり方はすぐには見つかりません。
常に問題意識を持ち、忙しい中でも時間を捻出、本やセミナーで知識を仕入れ、自分なりに創意工夫する ――― 教科書通りにできればよいのですが、言うは易く行うは難しです。
バスルートで行く近道
富士山を自分の足でふもとから登るのは貴重な体験ですが、時間がたっぷりある人だけができる贅沢な選択肢です。代わりに、バスで五合目まで上がり、そこから自分の希望やレベルに合わせて上をめざすのが現実的な選択肢です。「富士山の五合目までの近道(バスルート)」が“標準プロセス”なのです。
できる社員のノウハウを、会社が「標準プロセス」として整理して定め、社員が「やるべきプロセス」「集中すべきプロセス」を明確にした上で、実行するように推奨する方が時代に合っていて効率的です。
標準プロセスで構築した「人財育成の基本の型」で、成長スピードを速め、本人の自主性も活かす。それが富士山登頂に喩えた「人財育成の五合目までの近道」です。
(関連ページ・コラム)
次回は「(仮題)若手育成に効果抜群 プロセス見える化 」を予定しています。
今回も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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(株)フリクレア 代表取締役
山田和裕
(2022年09月25日)