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プロセスを三つの階層からとらえる
業務プロセスは【進捗】【活動】【やるべきこと】という三つの軸以外に、三つの階層からもとらえることができます。同じ「三つ」という言葉が重なるので、少し混乱するかもしれませんね。詳しく説明していきましょう。
業務プロセスというと、3次元プロセス分析法について書いたコラムでも述べたように、横一本の直線のようなものをイメージされる人が多いようです。これでは複雑なビジネスを表現するのは難しい。
あるいは、業務フローチャートのような業務の流れを細かく矢印などで示したものを想像する人もいるでしょう。これは社内管理やシステム構築、あるいは最近であれば内部統制などの場合で使われるケースが多いですね。主に細かい部分的な業務を表現することが多いので、業務の枝葉に目が行きがちです。
そして、個々の業務のやり方を細かく規定したマニュアル。
もちろん、こういった資料も基礎教育や管理のためには必要なものですが、これだけでは細かいところだけに目が行ってしまい全体像が見えません。木を見て森を見ずということが起こりやすくなります。枝葉のような細かいプロセスを改善しても、全体的な業務プロセスの改善にはつながらない、あるいは、かえって現場の手間を増やしてしまうこともあります。部分最適は必ずしも全体最適を意味しません。
本来は、木や枝葉を見る前にまずは森全体、すなわち業務全体の俯瞰図が、細かい業務手順を書いたマニュアルの前にあった方がわかりやすいはずです。
そこで、弊社の独自の手法である”3次元プロセス分析法®” では、プロセスの“深さ”についても、【俯瞰図】-【ポイント】-【マニュアル】という三つの階層からとらえるようにしています。
まず1番上の階層に、業務プロセス全体の俯瞰図である “プロセスシート” が来ます。俯瞰図なので、パッとみて全体像がわかるようにA3あるいはA4判の一枚にまとめまたものです。これが業務プロセスの標準化・見える化の基本図、あるいは、羅針盤となります。複雑な業務の内容を、一枚のシートで直感的にわかりやすいようにまとめるのが特徴です。
次の2階層に、各プロセスのポイントをまとめた “標準プロセスの手引き” 。プロセスシートでまとめた標準プロセスの注意すべきポイントや補足説明をまとめたものです。標準プロセスを実行する際に徹底してもらいたい注意点やマニュアルには書いてない肝心のポイントを、長くなりすぎないよう数行程度で記載します。OJTで先輩から後輩に口頭で教えていることを明文化・形式知化します。
成果に結びつきやすい「できる営業のノウハウ」を実践的な言葉でわかりやすくしたエッセンスの固まりなので、 “進化したコンピテンシーモデル” という呼び方もできます。
経験的に10ページくらいまでの資料であれば、忙しい現場の社員も読んでくれるので、読みたくなるような重要なポイントだけに絞って、作成するのがコツです。
そして最後の3階層目に、標準プロセスの詳細としてマニュアルが位置するイメージになります。個々の業務の詳細手順や人財育成の基本テキストになるものなので、どの会社でもマニュアルは存在しています。本来は上位概念として存在すべき俯瞰図がないため、部分最適的な効率化ツールの位置づけで終わってしまっているのはもったいないところです。
また、現実的な問題としては、担当者がせっかく苦労して作っても「分厚いマニュアルあまり読まれない」という残念な法則が存在しています。
プロセスシート1枚と標準プロセスの手引き10ページ程度があれば(2つの資料を併せて “標準プロセス資料” と言います)、カバンに入れて持ち歩けます。特に育成過程にある若手や中途入社社員には常に携帯してもらい、必要な時にいつでも取り出して何度も見直し確認できるように活用します。作り手側から見て完璧な資料ではなく、使う側の視点に立ち見る気にさせる資料作りという視点も、プロセス徹底のためには重要なポイントなのです。
プロセスシートと標準プロセスの手引きにまとめた標準プロセスが人財育成の “基本の型” となります。また、業務上のコミュニケーションや業務改善を話し合う際の “共通言語” となります。
(2014年09月22日)