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コラム

営業プロセス見える化のメリット

 

 今月は営業プロセス見える化のメリットについて書きますが、まず「なぜ、プロセスの見える化が必要なのか」という、そもそもの話からしておきましょう。

 答えは、「営業を中心とするホワイトカラーについては、実態が見えないため無駄が多く、生産性も低いから」です。

 経営にとっての一番の課題は「継続的な業績の向上・改善」ですが、そのための一番のボトルネックは「受注・売上に直結する営業の実態が見えていない = 見える化ができていない」、というケースが多いのです。

 属人的なやり方に頼るのではなく、製造現場と同じように業務プロセスの標準化や見える化を行わないかぎり、さらなる飛躍は望めません。【図】のように、日本企業はものづくりのところは、標準化・見える化が進んでいるのですが、営業を中心としたホワイトカラーの分野についてはまだまだこれからです。ここに手をつけないまま、結果だけを追い求めても、同じようなミスを繰り返し生産性も上がりません。

営業プロセス見える化のメリット

 

 フリクレアの場合、”3次元プロセス分析法®〟という独自の手法で見える化を行います。営業を見える化することによる5つのメリット、(1)業務の俯瞰図 (2)短期間の仕事の棚卸 (3)人財育成の基本の型 (4)コミュニケーションのための共通言語 (5)人事評価との連携について、順番に解説します。

 

(1)営業の全体像を1枚のシートで見える化できる

  3次元プロセス分析法®の最大のメリットは、誰でもわかりやすく〝1枚のシート〟で、営業プロセスを見える化することができるという点です。この1枚のシートをプロセスシートと言います。

 普通は営業業務の全体像がわかる俯瞰図はあまり見たことがないと思います。しかし、全体像がつかめていなければ、どこから手をつけてよいかわからず、やり方を適切に改善することは難しいはず。闇雲に手をつけても現場が混乱し、かえって非効率をまねくだけです。

 また、経営層、管理職、一般社員など担当する職域や責任によって意識しているプロセスも異なるので、同じ組織の中でも人によって思い描くプロセス像は異なってくるもの。そこで、業務全体を一つひとつのプロセスに〝因数分解〟して、わかりやすく1枚の紙にまとめたものが必要になるということです。そして、プロセスシートが業績アップの〝処方箋〟になります。

 

(2)仕事の棚卸が短期間でできる

 業務プロセス分析というと、時間と手間のかかる大がかりなものを連想しがちです。以前流行った大規模なBPR(Business Process Re-engineeringの略)では、1~3年もの年月をかけて業務の分析と抜本的な見直しを行っていました。ところが時間がかかりすぎ、業務分析がようやく終わった時には、時代が変化しせっかくまとめたプロセスが既に古くなっていて、もはや使えないという笑い話もありました。

  これに対し、3次元プロセス分析法®であれば、1業務あたり約3ヶ月という短期間でプロセスの標準化~見える化が可能です。簡単なプロセス図であるプロセスシート簡略版であれば、1時間程度で作成することも可能です。

 

(3)人財育成の基本の型ができる

 スポーツと同じようにビジネスの世界でも、人財育成(人材育成)のためには基本の習得が大切です。3次元プロセス分析法®で、業績向上や業務効率の改善につながる有効なプロセスを、営業員個人ではなく組織が“標準プロセス”としてまとめて見える化します。

 見える化した標準プロセスは、「成果を出しやすいプロセス」を明確にし、「やるべきこと」を漏れなく徹底するための“人財育成の基本の型”となります。営業でいえば、できる社員 = トップセールスのやり方を整理した“勝ちパターンの基本型”です。真似するわかりやすいお手本なので、組織で営業ノウハウの共有がしやすくなります。しかも、マニュアル好き、ツール好きな若い世代にも受け入れられやすい“営業の教科書”にもなるのです。

 

(4)仕事のコミュニケーションを円滑にする共通言語にもなる

 職場で業務の改善や課題解決の相談をする時に、お互いの言葉の解釈やイメージすることが微妙に違うために、いつの間にか話がズレ最終的な理解が食い違ってしまう。あるいは、伝えた方はきちんと説明したつもりでも、受け手にはちゃんと意図が伝わっていない。そういった経験はありませんか。

  立場や経験年数によっても、問題のとらえ方や解釈の仕方も異なり、その理解の仕方が微妙に、しかし、仕事を進める上では決定的にずれていることが間々起こります。

 本当はビジネスの場でも、こういった理解のギャップをなくし意味の取り違いがないよう、指示や意図を正確に伝えるための “共通言語”が必要なのです。見える化した標準プロセスは「共通理解のベース」や「課題共有の手段」として、日々のコミュニケーションをスムーズにし、教育トレーニングを行い、組織の課題解決を図るための「意識統一のための言葉」となります。

 

(5)プロセス評価にもつなげられる

 せっかく改善されたやり方を標準プロセスとして整理しても、本気で実践しなければ何も変わりません。「プロセスを大切に」と言うだけでは、現場は動きません。その徹底を人事評価で支える必要があります。

  見える化した標準プロセスを明確な評価対象とすることにより、結果につながりやすいと会社が認めたプロセスであれば、結果が出る前段階の〝正しいがんばり〟も評価する〝進化したプロセス評価®〟にもつなげるベースにもなるのです。


(2019年09月25日)

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