事例紹介(6) プロセス評価で業務プロセスの大改革

「プロセス評価」を実際に行っている事例として、大手飲料メーカーA社のケースを紹介します。かつてA社は飲料市場において圧倒的なシェアを誇り、業界の王者として君臨していました。しかし、ライバルのB社が大ヒット商品を発売してから市場におけるシェアを奪われ、ついに長年にわたり守り続けた業界シェアNo.1の座を、B社に明け渡してしまいました。

一方、業界を取り巻く環境を見ても、少子化や消費者のし好の多様化による影響があり、もはや売上の将来的な伸びは期待できず、横ばいか微減という状況にありました。

このため、「ここで抜本的な改革を行わなければ、No.1への返り咲きはおろか、会社として危機に陥る」という強い危機感を持ったA社の経営陣は、2001年度から全社を挙げて業務プロセスの大改革に着手したのです。

改革において特に重要な部門は営業でした。営業部門における改革の目的の第1は「情報共有による営業力の底上げ」、第2は「経常利益の拡大を目指す路線に転換する」ということでした。

そこで、A社の経営陣がこの二つの目標を達成するために行ったのは、それまでの営業活動を見直して提案型営業を強化すること。そして、それまでの成果主義に基づく人事評価を見直して、“成果”と“活動プロセス”で評価する仕組みをつくることでした。

この業界における提案型営業というのは、自社商品の飲料だけでなく、他の食品も含めた売場づくりをスーパーなどの量販店に提案するというものです。

例えば、冬の時期のスーパーでは「今夜はあったかお鍋♨)」と書いたPОPを掲げ、必要な食材をすべて揃えたコーナーをつくります。その日の献立に悩む来店客がセットで買い物をしやすいようにすることで、できるだけたくさんの商品を買ってもらおうという提案をするわけです。

営業担当者は、「お酒をたくさん買ってくれたら値引きします」というような古い営業ではなく、顧客である量販店の売上向上に役立つ様々な提案を行うのです。それによって、量販店の売上に貢献し、自分たちの飲料も売れるという「Win-Win」の関係をつくるのです。

A社ではこの提案型営業を担当する営業部員に対して「プロセスマネジメント」と「プロセス評価」を導入することになりました。

この業界では自社シェアを伸ばすためには、4社しかいない競合のシェアを奪い取るしかありません。しかし、これは言葉で言うほど簡単なことではありません。競合も自分のシェアを守り少しでもアップさせるために必死なのです。少なくとも半年、場合によっては1年、長い時は3年もの時間をかけて、根気よく競合に取り込まれている顧客を自社側に鞍替えさせる必要があるのです。

こういった時間のかかる中長期的な仕事を成果だけで評価すると、社員は誰もやりたがりません。すぐに評価に結びつく短期的な売上を追い求めるしかないからです。

そこでA社では、会社がシェアを奪いたいターゲットをリスト化し、さらに、シェアを奪うための“標準プロセス”を明確にしました。そして、会社が決めたことを行っている場合は、まだ売上に至っていなくても途中のプロセスを評価することにより、競合のシェアを奪うための地道な営業活動を奨励するようにこれまでの評価のやり方を大きく変えたのです。

そのためにまず、提案型営業の“できる社員”の営業プロセスを元に標準プロセスを定めることから始まりました。A社には日本全国に1500名ほどの営業社員がいますが、その中から30人ほどの優秀な社員を選び、ヒアリングを行いました。そして、彼らの活動プロセスを分析してコンピテンシーモデルを構築。それを元に、営業プロセスの標準化を行ったのです。

これによって、提案営業で優秀な成績を収めていた人の活動パターンを、他の営業部員にも広めることができるようになりました。また、具体的な提案の成功例などの情報を共有できるITシステムも構築しました。

一方、人事評価については、成果指標と活動プロセス指標の比率を同等に「50%:50%」に設定しました。営業部門においては成果の評価は当然必要なので50%評価しますが、何とプロセスも成果と同じ50%にしたのです。

A社のこうした業務プロセスの改革は着実に効果を上げています。業績は好調を維持し、特に経常利益の伸びが大きく、同社の改革の目標が達成されているのです。現在もB社と激しいシェア争いが続いていますが、財務体質は完全にB社を含めた競合他社を凌駕する強固なものとなっています。

「プロセス評価」と「プロセスマネジメント」を軸とした改革の努力を継続していくことで、企業体質の強化が今後も進んでいくことは間違いありません。

(2009年10月9日)

このページのTOPへ
サービス内容/ (プロセスの見える化)/ (プロセス評価・人事評価)/ (その他サービス 経営課題の解決)/
新着情報/ 会社情報/ 代表者から/ コラム/ 事例紹介/ ちょっとひと息/ お問合せ/ Q&A

-- できる営業の勝ちパターンを見える化して業績アップ。プロセスの見える化と
プロセス評価をセットにした“ プロセス主義® ”のコンサルティングを行う会社です --

(コンサルティングサービス内容)
  • ①プロセスの見える化: 成果につながるプロセスを標準化・見える化します。
  • ②プロセス評価: ポスト成果主義としてプロセス主義®を提案します。
  • ③その他:業績アップ、新規事業強化、営業力強化、生産性向上、業務プロセス改善、残業削減、タイムマネジメントetc プロセスの視点からお悩みの経営課題を解決します。
Copyright(C)2008-2018 Flecrea All rights reserved.