どこに根拠が…?

目標管理はP.F.ドラッカーが提唱したものですが、『目標と自己管理によるマネジメント』が正しい翻訳。目標管理の最大のポイントは、支配から自己管理によるマネジメントに代えること。本人の自主性に任せることで主体性が発揮され、結果として大きな成果が得られるという考え方です。

本来は組織の業績と個人の成長や価値観が両立するように、目標設定と運用がなされなければ意味がありません。ところが実態は、結果管理、ノルマ管理やひどい時はリストラの道具になっているケースが少なくない。ドラッカーが本来意図したのとは全く違う運用になっているわけです。

どんなによいマネジメント手法を導入しても、正しく運用されなければうまくいかないのは当然です。合意による目標設定、ルールの明確化と遵守、そして評価制度。これらの要素が三位一体にならなければ、効果は期待できない。さらに重要なのは、その徹底と浸透に多大な影響を与える組織文化の存在。「仏作って魂入れず」になってはいけません。


本意ではありませんが、典型的な誤った運用の例を見てみましょう。悲しいのは、日本の組織では誤った運用の方が既に一般化しているという事実です。

1)根拠のない目標設定

経営トップが前年度比○%アップという根拠のない目標の数字を設定して下におろす。現場は上に向かって面と向かっては反論できず、しぶしぶ要求を呑むしかない。無理に押しつけられた目標であり一緒に作り上げたものではないので、本気で達成する気にはならない。組織には、無力感やしらけムードが漂う。

2)ルールの形骸化

もとの目標に根拠がないので、目標設定のための上司と部下の話し合いがまともに行われない。ひどい場合は一方的な通達のみで、目標設定の場すら設けられない。この段階で目標管理の基本ルールがすでに崩れている。

どこに根拠が…?
3)本来の道をはずれる

上からの目標設定が不可能且つ達成圧力が尋常でない場合(例えば、降格・減給・くびをちらつかせる)、まともな手段では目標は達成できないので、追い込まれた現場は仕方なく、押し込みや架空取引といった帳簿上の見せかけの数字操作に走ることも。数字操作は一度使うとそのつじつまを合わせるために続けざるを得なくなり抜けられなくなる麻薬のようなもの。

4)評価制度も形骸化

人事評価の基になる目標管理が最初の目標設定から崩れているので、人事評価制度もまともに運営されない。不公平な結果主義や主観評価がはびこり、評価に対する不信感が高まる。かくして、評価制度も目標管理とセットで形骸化。


以上が目標管理を誤用した場合に発生する最悪の負のスパイラルです。今、世間を騒がせている東芝の利益操作問題により、いまだに帳尻合わせの無理な数字づくりが亡霊のように存在していることを改めて思い知らされました。驚くと同時に、非常に暗い気持ちになったのは私だけでしょうか。

プロセス主義に賛同してくれる良心的な会社とのコンサルティングを通じ、かつて流行った数字操作は過去の話となったのではないかと感じていましたが、どうやら勘違いだったようです。株主に気を使いすぎる米国型株主資本主義が幅を利かせる中、まだ脈々と存在し続けていた。いや、更に悪い方向に進化して復活していたともいえます。

利益至上主義の罠にはまった企業は他にもたくさんあると考えるべきでしょう。東芝は氷山の一角。オリンパス事件など類似のケースも思い出されます。程度の差はあっても目標を達成しているかどうかだけで詰める数字管理がまだまだまかり通っている。実はこういった目先の結果主義(短期的な結果主義)が、日本企業が元気を無くした最大の真因の一つともいえます。


目先の利益を追うがゆえに、良い製品やサービスを創り出せない。価格はそこそこかもしれないが、顧客が期待するレベルには達しない。独自性や付加価値など自社の強みで勝負すべきなのに、競合と見た目は見分けのつかないよくあるものしか提供できない、という悪いスパイラルに入り込む。根底にある真因は目先の結果主義以外の何物でもありません。

結果の数字を厳しく詰めるだけで本当に業績が上がるのであれば誰も苦労しません。“賢者の石”(卑金属を金に変えるとされる秘石/映画ハリーポッターで悪の力の象徴として出てくる)を探すに似て空しい。手品と同じように虚偽取引や数字操作という人には見せられないタネや仕掛けがあるだけ。結果はプロセスの延長線上にしかない。急がば回れ。結果が欲しければ、プロセス主義による真のマネジメントをめざすべきです。利益至上主義に洗脳された経営者にはもはや理解できないかもしれないが、やるべきことをやらなければ結果がついてくるはずがありません。


解決のヒントについて最後にちょっと変わった解決案をひとつ。それは「結果の数字のことはあまり気にしない方が、実は結果を出しやすい」というパラドックスが現存するというもの。顧客、そしてその先にある社会の消費者が本当に求めるものを、時には本来のビジネスとは一見関係のなさそうな遠回りの形であっても提供することにより、結果として売りたい製品やサービスが売れるという知る人ぞ知る営業手法があります。「顧客課題の解決が先、結果は後」という本当の顧客視点に考え方を切り替えられるか。自社の利益ばかりに囚われないことが、ブレイクスルーを創り出すカギです。皆が信じ込まされてきたビジネス常識とは相反するので、おかしなことを言っていると感じるかもしれません。残念ながら、すぐ理解できる人も限られています。

しかし、学術系の最新理論で、利益や株価などの経済価値追求から、ソーシャルイノベーションやCSV(Creating Shared Value/共同価値創造) など、社会貢献目的と利益の両立を目指す方向にシフトしてきているのもその兆候を表しています。顧客は真のニーズを満たしてくれた会社に対しては、適正な価格を喜んで払ってくれるもの。成功体験と問題意識を持ち続ける数少ない真のイノベーターだけが辿り着ける先端のマネジメント思考です。

(2015年8月24日)

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